ある日突然、家からいなくなってしまう
少し目を離した間に、家から出て行ってしまった。
「ちょっとトイレに」と思って離れたほんの数分の間に、玄関がもう開いていた…。
このような経験、介護をしていると起こりうる可能性があります。
いわゆる「徘徊(はいかい)」と呼ばれるものですが、実は本人にとっては、ふらふらと意味もなく歩いているわけではありません。
「仕事に行かなきゃ」「子どもが学校から帰ってくる時間だ」「実家に帰ろう」など、本人の中ではちゃんとした理由があって、目的を持って外に出ていることがほとんどです。
ただ、その「目的」は今の現実とはズレてしまっているため、結果として迷子になったり、知らない場所で立ち止まってしまったり、車道に出てしまったりと、思わぬ危険につながることがあります。
どうして出て行ってしまうの?

理由はいくつか考えられます。
- 昔の記憶が今と混ざってしまう
20年前、30年前の生活の記憶がよみがえり、「今すぐ行かなきゃ」という気持ちになる - 今いる場所が「自分の家」だと感じられない
見慣れない景色や家具に囲まれて、不安になり「家に帰りたい」と思ってしまう - 何かをしなければ、というあせり
「お米を買いに行かないと」「孫を迎えに行く時間だ」など、役割を果たそうとする気持ち - 単純に体を動かしたい、落ち着かない
特に夕方になると気持ちが不安定になりやすい「夕暮れ症候群」と呼ばれる状態もあります
どれも、本人にとっては「ちゃんとした理由のある行動」だということを、まず知っておくと、少し気持ちが楽になるかもしれません。
「鍵をかけてしまえばいい」では解決しない

出て行ってしまうことを防ぐために、玄関に鍵をたくさんつけたり、チャイムを工夫したりするご家庭も多いと思います。それも一つの工夫ですが、完全に閉じ込めるようなやり方は、本人にとって「閉じ込められている」という強いストレスになります。また火事や地震などの非常時にすぐ外に出られない、という危険もあります。
つまり、「出て行かせない」ことだけを目指すのではなく、「もし出て行ってしまっても、すぐに見つけられる」ようにしておくという考え方も、とても大切なんです。
そこで活躍するのが「AirTag(エアタグ)」
AirTagは、Apple(アップル)が販売している、500円玉より少し大きいくらいの小さな機械です。これを服のポケットや、カバン、靴の中などにそっと入れておくだけで、家族のiPhone(アイフォン)から「今どこにいるか」を地図上で確認できるようになります。

イメージとしては…
家の鍵に「鈴」をつけておくようなものです。
鈴をつけておけば、鍵がどこにあるか音で分かりますよね。AirTagはその「鈴」の役割を、スマホの地図でやってくれる、というイメージです。
具体的な使い方
- AirTagを購入し、家族のiPhoneと連携させる(設定は最初の一回だけ)
- 普段よく着る上着の裏ポケットや、いつも持つカバン、外履きの靴の中などに入れておく
- 「あれ、いない?」と気づいたら、iPhoneの「探す」アプリを開く
- 地図上に今いる場所が表示されるので、近くまで迎えに行く
操作はとてもシンプルで、一度つけておけば、特別な作業は何もいりません。
おすすめできる理由
- 価格が手頃:1個3,000円台程度で購入できます
- 見た目が控えめ:小さくて軽いので、服やカバンに入れても気づかれにくい
- 電池交換だけでOK:半年〜1年に一度、CR2032というボタン電池を交換するだけ
- 家族みんなで見守る事ができる:iPhoneを持つ家族同士で位置情報を共有できる
気をつけたいポイント
- 本人に知らせるかどうかは、ご家族でよく話し合っておくとよいでしょう。「安全のためにつけておくね」と伝えて納得してもらえるケースも多くあります
- AirTagはiPhoneと組み合わせて使う前提の製品なので、見守る側の家族がiPhoneを持っている必要があります(Androidスマートフォンの場合は別の見守りグッズも検討するとよいかもしれません)
- リアルタイムで常に追いかけられるわけではなく、近くにiPhoneを持った人がいるときに位置情報が更新される、という仕組みです。ただ、日常生活の中では十分役立ちます
近隣の方も見守り!!
「探す」のひみつ ― みんなで助け合うしくみ
AirTag(エアタグ)には、ちょっと面白いひみつがあります。
例えば、迷子になった犬に「名前と電話番号が書かれた迷子札」をつけておいたとします。
その犬が知らない町を歩いていたら、たまたま通りかかった親切な人が「あ、迷子の犬だ!」と気づいて、書いてある電話番号に「ここにいますよ」と連絡してくれる――そんな感じです。
AirTagも同じです。
エアタグをつけた人が遠くまで歩いて行ってしまっても、**たまたま近くを通りかかった他の人のiPhone(スマホ)**が、「あ、ここにAirTagがあるよ」と、こっそり自動でお知らせしてくれます。
しかも、これはiPhoneを持っている人が、何かする必要は全くありません。スマホがポケットに入っているだけで、自動でお知らせの役目をしてくれるんです。
だから、家族のスマホには「今、ここにいますよ」という地図が届く。
まるで、街にいるたくさんの人が、知らないうちに見守りを手伝ってくれているような仕組みなんですね。
まとめ
一人で黙って出て行ってしまうことは、本人なりの理由があって行動していることを理解しつつ、家族としては「もし何かあったときに、すぐ見つけられる」という安心の仕組みを用意しておくことが大切です。とは言え、ハラハラしちゃいますよね。

AirTagのような小さな道具を一つ持っておくだけで、「もしも」のときの不安がぐっと減ります。すべてを解決する魔法の道具ではありませんが、「ここにいるよ」と教えてくれる、心強い味方になってくれるはずです。
では、皆さまの今日、明日がすんばらしい1日になりますように。今日もありがとうございました!


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